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デッスンの個人日記

デッスンの個人日記

小説1 デスナイト

あたりは闇が支配するくらい洞窟
そこに一筋の光が動いている
(ここは・・・どこだ・・・)
全身を白い鎧で身を包んだナイトだ
彼は落ちていたランタンを手にし、宛も無く歩いている
(私は誰なのだ・・・)
彼には記憶が無い
あるといえば全身を包む白き鎧と右手にある剣だけである
他には何も持っていない
(誰か居ないのか・・・)
彼は人を探し暗き道を進む
だが地図も何も無い状態で知らない洞窟を進めるほどやわではない

結構歩いたつもりなのだが彼には進んでいる気がしなかった
そんなとき向かい側から別の光が見えた
「みんな~どこだよ~」
よわよわしい声であるが人の声に間違いなかった
彼は走った。
(これで帰れる)
彼は喜びに満ちていた
だが、
「で・・デスナイト!く・・・来るな!」
弱々しい声を出していたのはウィザードだった
彼は私を見ると驚き、しりもちをついた
(デスナイト?それが私の名か?)
っと 私はいったつもりだった
だが、声が出ない
変りに聞こえるのはカチカチという変な音だ
(何だこれは、なぜ声が出ない)
私は自分自身をよく見た
するとどうだろう、鎧の隙間から見えるのは
筋肉でも肌色の肉でもない
真っ白の骨だ
(なぜだ!)
私はウィザードに迫った
彼は本気で脅えていた
全身をガタガタ震わせ、目は私を見ている
そのとき私に何かが起きた
(何だその目は・・・)
気が動転していたのかどうなのかはわからない
だが、いま私に満ちてきたのは喜びでも悲しみでもない
憎悪だ
(そんな目で私を見るな・・・)
ますます憎悪が増えている
(そんな目で私を・・・見るな!)
憎悪が爆発した
わたしは持っていた剣で彼のにっくき目を刺した
彼の頭から剣が貫通して背後の壁を赤く染めた
(そんな目で・・・見るほうが悪い・・・)
彼には罪悪感など微塵も覚えられなかった
(それにしても私は一体どうなったのか)
思い出そうと考えていると・・・
「大丈夫か!?」
何人かの人々が曲がり角から出てきた
「ウィル!」
死んだウィザードの仲間だったのだろう
「貴様・・・よくも!」
突然ナイトが剣を取り斬りかかって来た
私はなすすべも無く切りつけられた
だが身に着けている鎧が私を守ってくれた
「ぐ・・・頑丈な野郎だ・・・だがウィルの仇だ!」
再度斬りかかって来た
だが、ナイトは一撃で地に伏せた
(オレを殺そうというのか・・・)
ナイトがやれたことに一同が動転していた
(ならばオレもお前等を殺そう)

洞窟にまたも沈黙が下りた
彼の足元には数多くの死体があった
そしてまた彼は思い出そうとしていた
そんなとき背後に気配を感じた
振り向いてみると大きなローブで身を包んだ者だ
「また失敗作か・・・」
彼は静かに喋った
(なんだ・・・お前も私を殺そうというのか)
わたしは彼に切りかかったが彼は少し喋っただけで何もしてこない
わたしは彼に近づくが・・・突然体が崩れた
「失敗作よ眠るがいい・・・永久に・・・」
薄れ行く意識の中で彼は考えた
(わたしはだれだ・・・)


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